12月18日の一般質問について
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先週の水曜日に行われた川崎市議会第4回定例会一般質問にて、私が取り上げました「市内中学校で起きた事故事案への対応及び再発防止について」の質疑が各メディアに報道されています。しかしながら、19日朝刊の読売新聞・神奈川新聞、20日朝刊の朝日新聞・東京新聞に掲載された以降、これら私への取材に基づき記事化された内容ではなく、取材に基づかず真意ではない報道が残念ながら散見されております。以下に私の質問内容と教育委員会からの答弁を掲載しておきますのでご確認の程、よろしくお願い致します。
【質問①】市内中学校で起きた事故事案への対応及び再発防止について伺います。事案の相談を受けたのが、本年1月。解決策として被害生徒である申立人から人権オンブズパーソンに人権救済の申し立てを行ったのが、3月。そして、9月30日に67ページに渡る調査結果報告書がとりまとめられました。これは、極めて異例とも仄聞し、この間、作成にあたって、申し出に応えられるよう可能な限り調査を行い、知り得た情報をもとに出来る限り事実に沿って中立的・客観的な検討を加えて頂いた人権オンブズパーソン、その後の災害共済給付の手続等に対応頂いた教育委員会各担当課に感謝する所です。 しかしながら、本件は、教育現場が抱える多くの課題が散見されました。人権オンブズパーソンは、この報告書において「申立人の今後の人生の一助となるようまとめたものであり、再発防止等を主目的とする事故調査報告書とは、一線を画するもの」としていますが、「二度と同じような事案が発生することのないように」との申立人及び保護者の願いから、申立人の許可と資料提供を得た上で、以下、質して参ります。
まず、事故の概要ですが、教育委員会と申立人側の捉え方に相違もあることから、調査結果報告書に記載された結論の構成を基にして、心情など私が申立人から聞き取った内容を交え、学校・人物等の特定を避けて申し述べます。 部活動での宿題確認日であった16日の練習日以降、夏休みの宿題を終わらせていなかった申立人は、部活動に参加しづらい状況であった。21日の事故発生日は、部活動担当教員から申立人保護者へ欠席に関する問い合わせがあったことから保護者の促しにより、自宅を出て部活動に遅刻して行ったものの、学校に到着した後、相談室内で担当教員からの厳しい指導があり、不本意ながらも自宅にやっていない宿題を取りに帰らざるを得なくなった。これは申立人にとって不可能であり、恐怖から担当教員に本当のことが言えず、自らはどうすることもできない状況に追い込まれたと述べている。また、申立人は家族にも宿題をやっていない旨を告げていなかったため家族が在宅する自宅に入ることもできず、逃げ場を失った状態になり、一人で自宅建物の非常階段で焦り当惑しきり座っていた。この時、正に窮地に陥っており、当時の心境を伺うと、「逃げ出したい」気持ちや、自らを責め、ふとして「死にたい」との感情もあった中、階段を降りてくる人の音が聞こえたことをきっかけに、非常階段3階部分の柵を越えて飛び降りたものと考える。飛び降りることになったのは、本件直前の事情によるところが大きいものの、部活動における夏休みの宿題の確認の在り方や、それまでの申立人に対する生徒指導の在り方、及び、その他申立人を取り巻く環境も少なからず影響を及ぼしているものと考える。と結論付けられました。申立人は、一命はとりとめたものの下半身の脊髄損傷の大怪我を負い、車いす生活を余儀なくされています。
生徒指導に関する学校・教職員向けの基本書である文科省作成の『生徒指導提要』は、令和4年12月に改訂されており、第3章「チーム学校による生徒指導体制」の中で「懲戒と体罰、不適切な指導」という項目に、新たに「不適切な指導と考えられ得る例」として具体例が掲載されています。まず、その内容について伺います。
【答弁①】教育次長 生徒指導提要についての御質問でございますが、生徒指導提要では、不適切な指導と考えられ得る例として、「大声で怒鳴る、ものを叩く・投げる等の威圧的、 感情的な言動で指導する」、「児童生徒の言い分を聞かず、 事実確認が不十分なまま思い込みで指導する」、「組織的な対応を全く考慮せず、独断で指導する」、「殊更に児童生徒の面前で叱責するなど、児童生徒の尊厳やプライバ シーを損なうような指導を行う」、「児童生徒が著しく不安感や圧迫感を感じる場所で指導する」、「他の児童生徒に連帯責任を負わせることで、本人に必要以上の負担感 や罪悪感を与える指導を行う」、「指導後に教室に一人にする、一人で帰らせる、保護者に連絡しないなど、適切なフォローを行わない」が示されているところでござい ます。
【質問②】全ての記載についてお答え頂きましたが、本件にあてはまる例がいくつかあると考えます。報告書及び私の聞き取りに対し、当日の申立人の心情についてこのように述べています。
以前寝坊して別の部活動担当教員に怒られたことから遅れて部活動に参加することがとても嫌だったにもかかわらず、今回も遅れての参加になり、また怒られるのではないかと思った。宿題の件があり、学校に向かったものの、学校到着後も校門や校舎の裏をウロウロしたと言っている事から、担当教員に会う以前より、部活動に参加することはかなり気が重い状態だった。校門で担当教員に見つかった際も、名前を呼ばれ「待て、逃げるな」と怒鳴られ「とても怖かった。」と言っており、その後、担当教員が戻るまで待つよう指示された「相談室」は生徒にとって特別なことがない限り利用しない部屋であるため、そもそも緊張する部屋に一人で最初は20分立って待っていたことやその後途中で部屋を使おうとしてドアを開けた先生が誰だったかも憶えていない状況、さらに、事故後、時系列を整理すると結果として合計で1時間以上待たされていたことなどから、かなり不安だった状況が伺えます。
そのような中、担当教員が部屋に入ってきて、「椅子に座れ」と言い、対面する形で座らされ、宿題について問われ「これから質問するから嘘つくなよ。嘘ついたらリモコン投げるぞ」と強い口調で言われて、実際にテーブルのリモコンを手に持ち、答えられないでいると、腕を振り上げ、複数回に渡り投げるそぶりや机を叩くなど威嚇的な行為もあったとの事です。
また、私の照会に際し、教育委員会から報告された資料においても、「強い口調で『なんでだよ』、『なんで帰ろうとしたの?』、『ごまかしたらリモコンを投げるぞ』と念を押しながら理由を尋ねた」としています。質問に答えられず、宿題をやっていないとはいえない申立人は「やばい」と思い、「心の中でずっとどうしよう、どうしようと悩んだ。本当に投げられるのではないか怖かった」と言っています。そして本当のことが言いづらく「家に忘れました」と言ったところ、担当教員から時間を区切られた上で「宿題を取りに帰れ」と言われ、詰問で追い込まれており、「はい、というしかなかった」と述べています。このような言動から、報告書においても、申立人は担当教員の指導により、それまでの不安感の中で、恐怖と酷い当惑状態にあったとしています。そして、家に戻る際も、時間的制約があるため、途中までは走ったが、その後は歩き、どうしたら良いかわからず、冷や汗が出て、心臓がバクバクしたとして、この時すでに心理的に大きな負荷がかかっていた様子が伺えました。
先程の答弁において、指導提要で不適切な指導とされる例として、「大声で怒鳴る、ものを叩く・投げる等の威圧的、感情的な言動で指導する。」とあります。また、相談室についても教育委員会からのヒアリングでは、奥行6m、幅4m程度と仄聞し、申立人も、「進路指導などの目的で使われる部屋。テーブル1つと椅子4脚前後、部屋の半分は、物置のようになっている」と話し、例にある「児童生徒が著しく不安感や圧迫感を感じる場所で指導する。」にあたるものと考えます。さらに、相談室に一人で1時間以上待たされたことや宿題を取りに向かわせたことも例にある「指導後に教室に一人にする、一人で帰らせる」等に触れるものです。これらは、具体例にある不適切な指導であったと考えますが、見解を伺います。
【答弁②】教育次長 教員の指導についての御質問でございますが、本事案における教員の指導につきましては、生徒の特性や心情に寄り添っていない面が多く見られ、生徒指導提要の具体例に当てはまる不適切なものであったと捉えております。
【質問③】具体例の不適切な指導との事ですので、その再発防止策について伺って参ります。まず、生徒指導提要の周知等の対応についてです。担当教員は、当局の聴き取りに対し、改訂自体は知っていたものの改訂部分は知らず、不適切指導について記述があったことを後から知ったとしています。そこで、改訂された生徒指導提要のこれまでの周知方法について伺います。この部分につきましては他会派の委員の質疑で理解しましたので答弁は結構です。さらに、再発防止にあたっては、部活動指導にあたる職員に対し、「不適切な指導と考えられ得る例」について再度周知を図ることやこれまでの取組及び研修等の在り方についても見直すことが不可欠です。
調査結果報告書も「多忙を極める教員に、改訂があるたびに自らその詳細を把握せよというのは厳しい、教育委員会が積極的に研修等を通じて概要等を伝える工夫が大切」と対応を促しています。見解及び今回の事故を教訓とした対応について伺います。加えて、当該校では、事故より1年が経過した本年8月になって研修を実施したと仄聞します。対応に時間を要した理由について伺います。
【答弁③】教育次長 生徒指導提要等についての御質問でございますが、再発防止に当たりましては、生徒指導提要等の改訂内容の周知徹底を図ることは重要であることから、生徒指導担当や支援教育コーディネーターの会議等の場において、児童生徒指導のポイント等について研修を行うとともに、各学校と研修資料を共有し、学校全体の児童生徒指導体制の充実を図るよう、取り組んできたところでございます。
当該校においては、本年4月に生徒指導研修を実施し、 生徒の実態に応じた指導方針等を確認しておりましたが、 区・教育担当が本事案の対応に当たる中で、教職員の理解が十分ではないと把握したため、本年8月に事務局の担当者を講師として派遣し、改めて研修を行ったところでございます。今後につきましては、全教職員への周知を図るため、 区・教育担当が、学校管理職や校内研修を担当する教員に対し、児童生徒指導のポイントを取示する等の取組を行ってまいります。
【質問④】次に顕在化した課題点として、事故調査、学校事故対応に関する指針運用の見直しについてです。平成28年3月文科省により、事故発生の未然防止、応急手当等の対応、原因究明や安全対策の検証、保護者への支援、再発防止等の適切な対応への参考として「学校事故対応に関する指針」が作成されました。また、国への報告の徹底、組織的な未然防止等に実効性をもって取り組めるように、本年3月に改正されました。
本件発生時は昨年8月であるため、旧指針が適用されますが、旧版においても対象事故は『原則として、登下校中を含めた学校の管理下で発生した「事故」であり、「死亡事故及び治療に要する期間が30日以上の負傷や疾病を伴う場合等重篤な事故」』とされていることから、本件は対象事故に「該当する」との指摘が報告書においてなされています。見解を端的に伺います。
【答弁④】教育次長 学校事故対応に関する指針についての御質問でございますが、本事案につきましては、「死亡事故及び治療に要する期間が30日以上の負傷や疾病を伴う場合等重篤な事故」の対象になるものと認識しております。
【質問⑤】該当するとの事です。その場合、死亡以外の事故については、「保護者の意向も踏まえ、設置者が必要と判断したとき」に基本調査を行うこととされ、その趣旨は、「事案発生後、速やかに着手する調査であり、当該事案の公表・非公表に関わらず、学校がその時点で持っている情報及び基本調査の期間中に得られた情報を迅速に整理するもの」で、調査主体は、「設置者の指導・助言のもと、原則学校が実施」するとされています。報告書に記載された「事後の事故調査等について」の聞き取りにおいて、調査主体である学校長は、「指針に則り、基本的な調査は実施している」とした一方、教育委員会の話として、「調査書の報告は義務付けられていないが、本庁に報告する。学校からまとめた一枚の『調査報告書』として貰っているわけではない。」としています。教育委員会として基本調査は実施したという認識なのか伺います。また、学校からの報告はどのような手法で行われたのか伺います。
さらに、設置者の指導・助言のもとに行われる基本調査において報告書という形にとりまとめるといった指針運用の見直しなど、報告の在り方について改善を求めますが伺います。
【答弁⑤】教育次長 本事案の調査等についての御質問でございますが、本事案につきましては、区・教育担当が、発生直後から事実関係の把握のために、校長等に適宜指示を行いながら、学校が主体となって事実関係の把握に努めており、その都度、学校がまとめた報告を区・教育担当が受け、その内容を事務局と共有してきたことから、基本調査は実施したと捉えているところでございます。今後につきましては、本年3月に改訂された「学校事 故対応に関する指針」に基づき、事故発生後の対応の流れに沿って、各種様式も活用しながら、適切に学校事故対応を行ってまいります。
【質問⑥】基本調査は実施したと捉えており、改善策として各種様式も活用して説明するとの事でした。そこで、基本調査から移行する詳細調査の実施と申立人及び保護者への意向確認についてです。
旧指針においても基本調査を踏まえ必要な場合に、学識経験者等の外部専門家が参画した調査委員会において行われる「詳細調査」への移行を学校設置者が保護者の意向にも十分配慮しつつ判断することとなっています。
また、「少なくとも次の場合には詳細調査を実施」することとされており、一つに「教育活動自体に事故の要因があると考えられる場合」、一つに「被害児童生徒等の保護者の要望がある場合」と旧指針には記載されており、報告書もこの点を指摘した上で、「詳細調査が行われている様子はなく、申立人保護者に意向確認があった様子もない。」と言及されているばかりか、当該校長も聞き取りに「それ以上の調査の話は教育委員会からも全然なかった。」と述べています。なぜ、詳細調査へ移行するという指針通りの運用が行われていないのか伺います。
また、報告書では、基本調査時の対応として、「申立人に本件について話を聞く場面を設けようとする話がどこにもない。また、学校側がお見舞いに行く際にも申立人の意向を確認する様子もなく、事故の当事者である「子ども中心」という発想はあったのか疑問の残る」とも記載されています。まさに、教育委員会及び当該学校の事故対応への姿勢が如実に表れた指摘と認識しますが、これらに対する見解及び反省点と改善策について伺います。
【答弁⑥】教育次長 詳細調査等についての御質問でございますが、本事案につきましては、基本調査で把握した事実を当該生徒の保護者に対して説明したものの、詳細調査への意向の確認を行わなかったことや、詳細調査に移れなかったこと等、その後の対応に不十分な点があったと捉えているところでございます。
事故後の対応についてでございますが、入院中や通院後においても、本人に対しましては、学校が事故の記憶に触れるような接し方を極力避けてきたため、その内面についての聞き取りができなかったことは、反省すべき点であると認識しております。
今後の学校事故対応の際には、児童生徒のおかれた状祝や、心理状況に十分配慮しながら、事故の当事者である児童生徒を中心に考えた両面となるよう、教育委員会としても、学校に対して適切に指導・助言を行ってまいります。
【質問⑦】本事案を教訓として、被害生徒を中心に考えた調査を行うとしました。また、保護者の意向確認や詳細調査への移行が出来ず、不十分な点だったとのことです。しかし、事故発生からすでに、1年4カ月も経過し、申立人を取り巻く環境も変わっています。指針通りの対応が出来なかった事に猛省を促しておきます。
次に、部活動での宿題提出を求めた指導等の在り方と再発防止についてです。報告書によると、本件の要因となった宿題指導を発案した別の部活動教員は、日頃から生徒一人一人ができることを増やしてほしいと文武両道を意識した指導をしており、夏休みの宿題をお盆明けに確認することで、計画的に物事を進めていく習慣を身につけ、まだ終えてない生徒に指導、助言でき、本来の提出期日である2週間後の授業開始日に間に合うよう支援したいとの考えから6年前から実施していたとの事です。当該担当教員も考えに賛同しており、部活動予定表にも、夏休みの宿題の提出期限を記載して、指導を続けてきたとしています。
しかしながら、これら教員の指導方針と申立人の「宿題を終わらせなければ部活動に参加できないという認識」には、乖離が見られます。まず、予定表の宿題に関して記載されていた内容について詳細を伺います。
【答弁⑦】教育次長 予定表についての御質問でございますが、令和5年8月の予定表の8月8日から15日までの欄には「ここまでに宿題は基本的に終わらせておくこと」 や、太字で「16日に宿題のチェックを行います」との記載があり、16日の欄には太字で「宿題持参。チェックさせていただきます」、最下部には「字体の変更箇所は、 特に注意してください」と示されていたところでございます。
【質問⑧】これら表記について、報告書においても「終わらせた宿題を持参しないと、部員は部活動に参加しづらい状況は明白であり、さらに、参加の可否に関わる」と指摘。また、宿題を出した教科担当教員や担任と連携をとることなく、宿題の内容等について理解しておらず、評価する立場でもないことに触れ、「出題の趣旨等宿題の内容を深く知らずに適切に指導するということは難しく、その場合は、宿題をやったか否かということに焦点がいく。本件でも宿題確認日は宿題の何を確認するかを聞いたところ、宿題をやっているか否かを確認している」と述べたとしています。
また、部活動の仲間は、多くの時間を一緒に過ごし目標に向けて苦楽をともにする友人となり、将来にわたる一生の友情を築く貴重なコミュニティです。私も部活動経験者ですが、部活動は、学校生活そのものであり、情熱を傾ける児童生徒にとって、その時点での「人生の全て」と言っても過言ではありません。そこに参加してはならないと感じさせることは、人権侵害に等しく、築いてきた人間関係やコミュニティに亀裂を入れ、いじめや事故等の原因ともなり得ます。加えて、連休明け、長期休業明けの自殺リスク等については、社会においても今や常識となっており、そういった時こそ生徒児童のSOSを見逃すことのないよう指導にあたるべきだったと考えます。なぜ、生徒児童本位での指導が行われなかったのか。このような指導への課題認識及び適切と考えているのか伺います。
また、他の学校においてもこのような部活動指導が行われていないのか調査の在り方も含め伺います。
さらに、報告書では、再発防止策の策定にあたり、いくつかの検討の視点を加えた上で取り組むよう促されていますが、見解と対応について伺います。
【答弁⑧】教育次長 児童生徒指導についての御質問でございますが、児童生徒が安心していきいきと学校生活を過ごすためには、教職員が家庭での状況も含め、児童生徒一人ひとりの特性や心情への理解に努め、内面に寄り添った対応を心掛けることが必要と考えておりますが、本事案では、それが不十分であった点を課題として捉え、適切ではなかったと考えております。
休業中の学習の仕方や学習課題等の指導につきましては、本年7月8日付け通知「夏季休業中における児童生徒指導等について」により、個に応じた適切な指導や支援を行うよう周知するとともに、児童生徒指導連絡会議等の場においても改めて指示したところでございます。また、本事案と同様の指導は、他の学校の部活動では行われていないことを、夏季休業前の児童生徒指導連絡会議の場で確認しております。
児童生徒一人ひとりを大切にしたきめ細やかな指導。 支援に向けましては、部活動を含む全ての学校生活において、教職員が、児童生徒個々の置かれている状況に寄り添い、悩みや不安の早期発見に努めることが重要であり、結果ではなく過程を大切にした指導により、児童生徒一人ひとりが自分らしく安心して過ごせるよう、各学校を支援してまいります。
【質問骨子⑨】内面に寄り添った対応が必要であり、本事案では、不十分で適切ではなかった。また、他の学校では行われていない事からも異例な部活動指導であったわけです。これら答弁を踏まえ、最後に、教育長に伺います。今回の事故事案は、不適切な指導等の積み重ねにより起きており教育現場が抱える多くの課題や問題点が顕在化しました。
これまでの質疑では、改訂された「生徒指導提要」の研修や部活動指導の在り方、児童生徒及び保護者対応や調査実施にあたる学校事故対応に関する指針運用の見直しなどについて質しましたが、共通して指摘したことは、教育委員会事務局や学校現場が「子ども目線」ではないこと。申立人に話しを聞かないなど、事故対応に関して、言い換えれば「大人都合」の消極的な姿勢で取り組みが進捗しており、子どもの権利に関する条例を施行する本市において、由々しき事態です。この点、報告書において様々な課題点で指摘されております。
今後、再発防止の取り組みに尽力することと思いますが、「二度と同じような事案が発生することのないように」との申立人及び保護者の願いに応えるため、今回の事故を教訓に、どのような意気込みでそれぞれの各取組を進めていくのか。指摘された課題への反省点も含め所感を伺います。
また、災害共済給付の手続きや詳細調査への意向確認等に際し、申立人及び保護者に寄り添った対応が不可欠ですが見解と対応を伺います。
【答弁⑨】教育長 児童生徒指導についての御質問でございますが、児童生徒が、生き生きと自分らしく、安心して学校生活を送れるよう指導・支援していくためには、教職員は共感的理解に基づき、一人ひとりに寄り添っていく姿勢を持つことが必要であり、また、家庭での状況も含め、 児童生徒の置かれている状況は、それぞれに異なることから、保護者と十分連携するとともに、チーム学校として、多くの教職員等の視点から、児童生徒に関わることが重要であると考えております。本事案は、そのような点から、また、事後の調査・対応においても、教育行政の責任者として反省すべき点があったと大変重く受け止めております。
今後、今回の事案を教訓に、全ての学校において、児 童生徒指導体制を再点検するとともに、本市の子どもの権利に関する条例について、改めて認識を深める機会を設ける必要があると考えており、全ての教職員が、児童生徒一人ひとりを大切にすることの意味を、改めて深く認識するよう、各施策や再発防止策の取組を進めてまいります。また、災害共済給付の手続等につきましては、本人や保護者の意向を踏まえ、適切に対応してまいります。
【意見要望】
昨日も他の委員から「教師からのいじめ」について質疑されました。新聞報道によると、教育次長は、「教職員の言動で児童生徒との信頼関係が損なわれることはあってはならない」と述べ、児童生徒や保護者に事実確認して個々のケースにも対応しているとしました。
しかし、今回の事故では、指導提要に抵触する不適切な指導、宿題提出を求める適切ではない部活動指導のみならず、申立人の話しや詳細調査の保護者意向を確認することなく、文科省が定めた指針すら1年4カ月に渡り指摘するまで動きもない教育委員会の対応、さらに、翌日に本件質疑が行われるのを通告で知りながら、他の委員に対応が図られている旨の答弁がなされたことは、不誠実であり違和感を覚えるものです。
報道には、教育長も「教職員の不適切な言動で、子どもが傷つき、心を閉ざすような事案があることは大変遺憾」と答弁したとあります。辞書によると、「遺憾」とは、期待した通りにならずに残念に思う気持ち・意図した結果にならずに不満足に思う気持ち・後になって不十分であったことを後悔する感情のことを意味する表現。とありますが、残念・不満足・後悔している場合ではなく、今もこの瞬間、不適切な指導により、児童生徒の身体生命を脅かすような因子が学校現場で常に発生している危機感を持つべきです。
答弁では、「今回の事案を教訓に全ての学校において指導体制を再点検する」ことを約束した上で、「全ての教職員が児童生徒一人ひとりを大切にすることの意味を改めて深く認識するよう各施策や再発防止策の取り組みを進める」としました。その進捗を注視するとともに、答弁の有言実行と改善と検証、その状況の報告を怠らないよう対応を求めて質問を終わります。